昔やっていた、アマチュア無線を再開しました。
ハンディ機を買ったのですが、これを生かすためには、やはり屋外運用でそれなりのアンテナを…と考えたので、5エレのヘンテナ八木を作ってみようと思いました。
アンテナの設計用のソフトウェアとして有名なものをぐぐってみると、MMANA-GALというものが見つかりました。日本語の解説書も出されているくらいメジャーなようなので、とりあえずこれを使って設計してみようと思いました。
早速インストールすると…C:\ドライブの直下に適当なディレクトリを作って、そこにインストールするではありませんか! これは別のディレクトリ(c:\Program Files* を除く)に、インストールされたファイルを全て移動させても問題ないようなので、移動しました。
起動する前に、このプログラムは、
Delphiの
TStringGridを使っているようなので、バイナリダンプしてみました。
バイナリエディタで「Delphi」という文字列を検索すると…やはりありました。マニフェストファイルに含まれているのでしょうか?
さらに調べてみると、
「__CPPdebugHook」という文字列が見つかりました。どうやら、Pascal(Delphi)ではなく、C++ Builder 製のようです。
起動すると…
このような画面が出てきました。
日本語化できるようなのですが、僕の環境ではなぜか文字化けしたので、英語版のまま使うことにしました。
「Geometry」タブの、
TStringGridを埋めてシミュレーションするわけです。座標の指定がめんどくさそうですが、名前をつけ、周波数を指定した後、とりあえずそれっぽいヘンテナのデータ(座標は連続していることが重要。そうでないと、別々のエレメントと見なされます)を入力します。
しかし、
ヘンテナが、アンテナ2つ分とカウントされてしまった!
これは、どうやら以下のように処理されているためのようです。

上の、「ダメな例」のように、1つのループ+「フォーク状」して入力すると、それは「別々のアンテナ2つ」と見なしてしまうようなのです。
「よい例」のように、向きをそろえて、1つの大きなループを作り、ヘンテナの給電部は最後に付け足すと、1つのループアンテナとして計算してくれました。
あと、忘れていけないのは、給電点を指定すること。この場合は
7番目の要素を給電点とする座標にしたので、「Sources 1」の「PULSE」を「w
7c」と変更する必要があります。
さて、入力が終わったら、適宜データをセーブするなどした後に、「Caluculate」タブを押すと、以下のようなウィンドウになります。これを、便宜的に「計算ウィンドウ」と呼ぶことにします。
計算ウィンドウの「Optimization」ボタンを押すと、
このような「最適化ウィンドウ」が出てきます。これの、「All Elements」ボタンをクリックすると、データがロードされます。
そして「Element edit」ボタンを押すと、
全てのエレメントが、まとまって出てくるので確認します。給電するエレメントは、赤く「
Base element」と出てきます。なかなか賢いです。
ヘンテナは7本の線分の要素で構成されているので、「Wires」に「7」と出てこなかったら、データ入力をやり直す必要があります。
このウィンドウはキャンセルし、上の最適化ウィンドウの「Advanced」ボタンをクリックします。すると、以下のようなダイアログが出ます。
ここの「Pulse position」も「w
7c」と書き換える必要があるので、忘れずに書き換えます。
そして最適化ウィンドウに戻って、「Band setting」ボタンを押すと、
このようなダイアログが出るので、ここはお好みで、シミュレーションする周波数を増減するとよいでしょう。ワイドバンドな特性のアンテナを設計したいときに重宝しそうなところです。
ちなみに、ここの「w
7c」は既に自動的に入力されているので、何も変更する必要はありません。
準備ができたので、最適化ウィンドウに戻って「Start」ボタンを押すと、計算ウィンドウに戻り、最適化が始まります。
データによっては時間がかかるので、計算が終わるまで待つ必要があります。
さて、計算が終わりました。データを表示させてみましょう。
計算ウィンドウの「Plots」を押すと、下のようなダイアログが出ます。
430MHz帯は帯域が10MHzあるので、それに合わせた表示にするため、「Setup」タブを押し、「Center Frequency」を真ん中の「435.0」にします。そして、「BW」を「10000」にします。
「Limit of SWR」はお好みでどうぞ。
とりあえず「Z」タブ(要するにインピーダンスのタブ)を表示させ、「Detailed」ボタンを押すと、しばらく計算していますが、やがて、上のようなデータが出てきます。
個人的に一番気にしていたSWRのデータは、上のようになりました。…まあ、こんなものかなあ。
気に入らなかったら、条件を変えて再計算しましょう。
これは、ゲインとF/B比のグラフです。
ヘンテナ八木は、F/B比が高い傾向があるようです。その代わり、ゲインはそれほど大きいわけではなく、単体のヘンテナのようなメリットはあまりないらしい。
…ヘンテナ、やっぱり止めるか?
これは、指向特性のデータです。
計算ウィンドウに戻り、「Far field plots」タブを押し、下の「3D FF」ボタンを押して、3Dの立体的な指向特性を表示させようとしましたが…
僕の環境では、「ぬるぽ」に対するAccessViolationが出て、
表示できませんでした。残念。
最後に、計算ウィンドウの「View」タブを押し、このアンテナの形状を確認します。
…何、このヘンな形。
実際問題として、最適化の収束条件によっては、上のような奇妙な八木アンテナになってしまうことがあるようでした。
これも、何度か条件を変えて計算をやり直すか、もういっそのこと、
それっぽい元データを入れ直して始めから再計算するとよいようです。
以上、何だかよくわからないまま、MMANA-GALを使ってアンテナの設計をした簡単なレポートでした。
最後に。
上でもっともらしく「○○ボタンを押す」「△△と入力する」などと書いていますが、
全部適当です。
なので、解説書やヘルプに書いてあることと食い違う場合は、
僕の言うことは無視するのが賢明です。